
花間一壷酒 独酌無相親
挙杯邀明月 対影成三人
月既不解飲 影徒随我身
作は、酒飲みの言い訳名人、ご存じ「李白」。「月下独酌(げっかどくしゃく)」中、冒頭の六句。
「ウ〜ム。花があってもな〜っ。酒飲む相手がいないし、一人じゃぁね。だからといって、世間に媚びるような奴っぁ〜とは、御免だ。いっそ一人が良いってもんだが……。"お月さん、今晩は"。どうです?一献。私の影もいれりゃ三人だ。 「♪一人じゃっ、ないって〜っ♪」てや〜いっ。どうもいけない。お月さんも駄目か。なに?お影さんも、おんなじかい。そりゃ影だからね。いったい、どうしようかね」だとか。訳は酒に乗じての、揚句の挙句。ご勘弁を。
お隣、韓国同様、文化文明の多くを中国から受け継いだ、日本。漢字は、アルファベットと違い、一字一字に意味がある。そんな感じで語句を辿っていくと、李白の胸中が透けて見えてくる。
"酔訳"の元は、「鷹勇(たかいさみ) 山卸廃止酛仕込(やまおろしはいしもとしこみ)」。仕込みが平成17年、製造が平成21年。四年余り、熟成されている。この日本酒を醸造したのは、鳥取県の「大谷酒造」。ナショナルブランドやフルーティー、大吟醸を振りかざす蔵とは一線を画し、こうした蔵元と同じく、独自の姿勢で"上質を醸す酒"を扱う酒屋、酒亭もまた、少ない。その内の一軒が京都にある。かの地には、旨い日本酒を酌める店が、料理屋を含めて「ほとんどない」という、長年の思い込みを、拭い去ってくれた酒房が……。
ボーダーシャツに「竹鶴」。
狭く、わかりにくい入り口が、目印 !? だが、引き戸を開けてからのアプローチは、シンプルで居心地のよさを予感させるに十分。灯り、木質で整えられた室礼は、和様でありながら、北欧のモダンを漂わせる。「店」というより、「うち」といいたくなる。
ここの主人は、「竹鶴」に惚れている。酒棚を見れば、すぐわかる。その恩恵にさずかるべく、席につくと、とりもなおさず、「竹鶴 雄町純米」を、冷やしてもらうのが、このところのお決まり。
しばし、"再会"を待つ間、「さぁ〜て、今晩は、何をいただきやしょう…」と思いきや、ん!? 「辨天娘」が目の前に。 「常温?燗?」。温度は、ご主人任せ。「どう供そうか、どのくらい放っておこうか」と、数ヶ月、いや、時には一年以上、酒を手元に置き、深く眠る酒の声を聴いているのだから。
「肴は、何を….」。どれも”酒飲み”の肝を心得ているものばかり。"辨天様"には「とりじゃが」と、五島産の「あじのかまぼこ」、「ラディッシュぬか漬」を相方にする。手元に置かれた箸は、酒房のご近所、「市原平兵衛商店」のもの。使い勝手がよく、拙宅でもお世話になっている。「ジーンズにボーダーシャツ」が映る、ご主人との話も、また良い肴。
盃を重ねるうちに、冷凍庫の中で冷遇(?)されていた"雄町君"が、ご帰還!"燗酒"もいいけれど、かつての味わいとはまったく違い、キリリンッと引き締まった表情を見せてくれる。「冷やしても良し。燗しても良し」。これだけを呑みに、来てもいいくらい。......といいながら、「次は、どの"竹鶴の君"にしようかな〜」の長居が常。
ちなみに、この店では、当ブログ「デザイナーとしての醤油」で、紹介した「はつかり醤油」を使っている。京都の醤油ではなく、"さいたま"のを。なんだか嬉しい。好好。
Author:Ajinci
どんなものを
食べているか言ってみたまえ。
君がどんな人であるかを
言いあててみよう。
by Jean Anthelme Brillat- Savarin

重ねてのお訪ねありがとうございます。
学生時代から、世話になった、銀座「ピルゼン」、上野「まるき」[シンスケ]は建物を一新し、しもた屋の雰囲気がなくなり、ちと残念。「鍵屋」も、爺さんから婆さん、娘かお嫁さんくらいまでが良い感じでした,10年ちょっと前くらいまでか。かっての常連、芸大の先生陣、博物館の曲者達、皆、みかけなくなりました。
あちこちに「立ち飲みや」が目立ちますが、どれも、業態変更、いけそう、だからの付け焼き刃、良い店少ない。酒はさておいて、京都の「赤垣屋」は好きです。
明治屋、承知いたしました。
多謝 Ajinci
> 早速の、お返事コメントありがとうございます。
>
> そうなのです。浅草「松風」は店を閉めてしまいました。
> 昨年の春でしたよね。理由は知りませんが、残念ではあります。
> あの雰囲気をもつ江戸下町の酒場は、なかなかありません。
> あの店で、樽・真澄を知りました。
> 最初に連れていってくれた友人は、ちょっと自慢気に
> 俺は4本まで呑めるんだ、と会員カードを大切にしていました。
>
> いま大阪では、阿倍野の「酒 明治屋」が地域再開発のあおりを受け
> 創業70年の店が、追いやられ、その姿が消えようとしています。
> 太田和彦さんが、「ここは居酒屋の聖地である」と語る店です。
>
> 「松風」の最後に、寄れなかったのが心残りになっています。
> 「明治屋」も、カウントダウン状況です。
> 何時どうなるかがわからないので、思えば向かうようにしています。
> Ajinciさまに、ぜひ訪ねていただきたい店ではあります。